帯の種類

帯はもともと衣服の前が開かないように、腰に巻いたものです。縄状の組紐から始まり、裂地となり時代とともに帯の幅も広くなりました。

現在は使われている帯の種類は、主に下記の7種類があります。

帯の種類～丸帯

丸帯は、広幅の帯地で仕立て、表と裏が同じ柄で、女性の帯の中では最も豪華な帯です。

丸帯の始まりは江戸時代半ばで、髪型が大きくなったことからバランスをとるために正装用の帯幅や帯結びが大きくなりました。

丸帯は、長さ1丈8寸(約409cm)、1尺8寸(約69cm)の幅の帯地に芯を入れて縫い合わせたものです。 帯地には錦織や金襴、緞子などの豪華な織物が使われていますが、江戸時代に中国から伝来したこれらの織物は厚い板の芯に巻かれていたので、厚板物や厚板織などと呼ばれたそうです。

華やかな丸帯は、戦前までは正装の帯として活躍しましたが、和装が軽装化するにつれ現在は、舞妓さんや花嫁用の帯として主に用いられています。

帯の種類～袋帯

豪華な丸帯に変わって、明治時代以降に考案されたのが袋帯です。現在では袋帯が最もポピュラーな礼装用の帯として親しまれています。

袋帯は表地だけに金銀糸や色糸を使った織り文様があり、裏は無地か地紋です。明治時代の頃は袋状に織られていたために袋帯と呼ばれました。

一般的な袋帯の幅は8寸2分(約31cm)の並幅で長さは1丈8寸(約409cm)以上で、この長さがあると二重太鼓や振袖用の変わり結びができます。

袋帯の殆どは、金糸銀糸を使った礼装用、準礼装用ですが、最近は金糸銀糸を控えめに用いたものや、色糸だけで模様を織りだした袋帯などがあり、これらは洒落袋帯と呼ばれています。袋帯は振袖や留袖、訪問着などの礼装用に、洒落袋帯は紬や小紋、付下げ、色無地の着物に締めます。

帯の種類～名古屋帯

名古屋帯は、大正時代に名古屋女学校の創始者が日常的に締めていた風変りな帯を商品化したものです。名古屋で考案されたので、この名がついたそうです。名古屋帯は、仕立てる前の帯幅が9寸(約34cm)なので、九寸帯、九寸名古屋帯とも呼ばれます。仕立てる前の長さは１丈2尺4尺(約470cm)程度で、たれ先を3尺(約114cm)ほど折り返してお太鼓にし、残りの部分を半幅に折り、帯芯を入れて仕立てます。この仕立てを「名古屋仕立て」といい、こうすることにより帯の長さが短くなり、一重太鼓にして締めることができます。

他にて先を折らずに仕立てた「鏡仕立て」「額縁仕立て」や、て先を少しだけ半分に折ってかがった「松葉仕立て」があり、いずれもお太鼓部分は8寸幅に仕立てます。一般的に金糸銀糸を使っている名古屋帯は、付下げや色無地などの準礼装にあわせ、それ以外は紬や小紋などにあわせます。

帯の種類～袋名古屋帯

やや地厚の1枚仕立ての帯の袋名古屋帯は八寸帯、八寸名古屋帯、かがり帯など呼ばれます。代表的なものに綴織、紬、博多織などがありこれらの帯地には帯芯はいれません。袋名古屋帯は、袋帯と名古屋帯のよいところをとったという意味の帯で、昭和初期頃から使われ始め、昭和30年代に軽さと締めやすさから人気となり普及しました。

帯幅は、仕立てる前も仕立て上がりも8寸(約30cm)で、たれ先から3尺(約114cm)引き返して両脇をかがり、て先を少しかがると締められます。 金糸銀糸を使った綴織や組帯の袋名古屋帯は、訪問着や色無地などをあわせて略礼装にあわせ、紬や博多織の袋名古屋帯は、小紋や紬にあわせます。

帯の種類～京袋帯

京袋帯は、仕立ては袋帯で、長さは名古屋帯と同じで、模様を織り出した裏地と、無地または地紋を織り出した裏地を縫い合わせてつくられます。

長さは9尺5寸(約360cm)ほどで、袋帯と名古屋帯の特徴を組み合わせた帯です。

帯の格としては、袋帯と名古屋帯の中間にありますが、袋帯よりも軽く、価格もリーズナブルです。前帯の幅を自由に変えることができるのも魅力で、京都の西陣でもつくられています。

帯の種類～細帯・半幅帯

細帯は帯結びが楽にできる幅の細い帯で、一般的には8寸幅以下の帯を指します。 半幅帯は最も活用されている細帯で、4寸幅(約15.2cm)や、6寸幅(約22.7cm)などがあります。 錦織や緞子、唐物などの細帯はカジュアルなパーティにも使え、博多織や木綿、麻、化繊などの半幅帯は普段着用に用います。半幅帯のうち、袋状になった小袋帯は袷の季節に、1枚仕立ての単衣帯は夏の普段着や浴衣などにあわせます。

帯の種類～兵児帯

兵児帯は柔らかい布の両端をかがっただけの帯で、ボリュームのある華やかなリボン結びが似合うカジュアルな帯です。

もともとは男性や子供用の普段の帯で、最近は女性の浴衣に用いられ、色柄も豊富です。

生地がやわらかく、帯幅は8寸以上の1枚の布なので簡単に結べる普段着用の帯です。