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九州地方の染織品~久留米絣

2016.8.30

九州地方の染織品~久留米絣


日本の代表的な木綿絣のひとつである久留米絣(くるめがすり)は、先染め織物ならではのしっかりした風合いと、綿100%の心地良さが魅力です。 紺地に白く織り出される久留米絣の模様は、きわめて単純で素朴ながら強い健康な表現力があります。


久留米絣は、1800年頃、井上伝(1788~1869年)という12歳の少女が始めたと伝えられています。彼女は、古い藍染めに色あせて白くなった斑をみつけ、布を解き、これをヒントに久留米絣の元となる技法をひらめき、白糸を手括りして藍で染め、絣模様ができたといわれています。


久留米絣は、紺地にくっきりした幾何学柄や絵絣を織りだしたもの、植物模様などが、経糸と緯糸で表されるのを特徴としていますが、初めは単純な斑点模様で、その後、「からくり儀右衛門」こと田中久重(東芝の創業者)や、牛島ノシ(国武絣の発明者)が久留米絣の代表的柄とされる小紋を考案するなど、多くの人々の工夫が加えられ、今日の久留米絣になりました。


久留米絣は、九州・久留米を中心とした筑後地方で久留米藩が産業として奨励したこともあり、ほとんど農家の副業としてつくられました。明治時代以降は、機械化・効率化で全国的に普及し、日常着として広く愛好されるようになり、久留米絣は、着物、夜具地等の需要に応じて木綿絣の代表的存在となりました。


先染めの木綿絣である伝統的な久留米絣は、完成までに約30工程にも及ぶ作業を有し、その一つ一つの工程に熟練した経験と技を必要とします。一つの反物をつくるのに、多くの職人たちが手間をかけ、技術を集結させて織り上げます。久留米絣の反物は巾38~40cm、長さ12mほどですが、その縦糸と緯糸が織り成す紋様は精巧さを極め、美しく、木綿ならではの素朴な風合いを有しています。


伊予絣備後絣とともに日本三大絣の一つともされる久留米絣は、機械化が進み手仕事は少なくなりましたが、1957年に久留米絣は国の重要無形文化財に指定されました。1976年に久留米絣技術保存者会が、「手括りの絣糸」「天然藍の染」「なげひの手機」で、無形文化財保持団体に認定され、伝統の手法による文化財の久留米絣を制作しています。


重要無形文化財としての久留米絣としては、下記3つの条件があげられます。

1.手括りによる絣糸を使用すること。

2.純正天然藍で染めること。

3.なげひの手織織機で織ること。

この厳しい条件を満たして製作し、検査に合格したものだけが「重要無形文化財」の証紙を貼付することが許されます。

重要無形文化財・久留米絣技術保持者としては松枝哲哉、小川内龍夫、森山虎雄らがいます。

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