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着物や帯の文様~正倉院文様 

2016.3.28

着物や帯の文様~正倉院文様


帯や着物に用いられる文様は数えきれないほどのたくさんの種類があります。今回は、その中の「正倉院文様」を紹介します。

 

正倉院文様

「正倉」とは、寺の儀式用具や宝物、徴収した贅の穀物を収納したものをいい、奈良時代、東大寺に建てられた正倉院は、大仏開眼供養の仏具や舞踊衣装、聖武天皇ゆかりの服飾品や葬送具など、歴史を物語る重要な品々が収められた宝庫です。


正倉院宝庫には、唐の国(中国)から舶来した絢爛豪華で精巧な金工や漆器、木工、陶磁器、染色工芸品も多数納められており、それらに工芸染織品などに用いられた文様を総称して「正倉院文様」といいます。


唐からの渡来品にみられる中国古来の饕餮文(とうてつもん)や四神文様、北アジアの咬獣文様、ササン朝ペルシアの連珠や花喰鳥文様、仏教様式の唐草文様など、格調高い多様な文様がみられます。

正倉院文様は、「上代染織文様」ともいわれ、日本の古典文様として最古に位置づけられています。天平時代の文様が最も多いですが、飛鳥、白鳳時代の文様も含まれます。


代表的な正倉院文様

 

唐花文


唐=中国から渡来した文様で、唐風の花や蓮花、牡丹、空想の花など数種類の植物のモチーフを合成することにより出来上がった文様です。唐花には4弁のものが多く、5弁・6弁もあり、花弁の先に入隅のあるのが特徴です。


宝相華文


袋帯などによくみられる正倉院文様で、仏教系の文様の一種です。宝相とは、バラ科に属する植物の中国名ですが、牡丹、シャクナゲ、芙蓉などの花の美しい部分を組み合わせてつくりあげた空想上の花の文様で、主として唐草的な表現で丸い形に文様化されたものです。


花喰鳥


ササン朝ペルシアに起源があり、鳳凰などの瑞鳥が花枝などをくわえて羽ばたく様子を表現した文様。松喰鶴などの和様化した文様もあります。


狩猟文


スキタイ、ペルシアのササン朝時代に流行した文様で、大型の連珠円文内に花樹を挟んで 獅子や鹿、羊、猪などを馬上の騎士が弓で射る場面を文様化したものです。


連珠文


丸い 珠 (たま)を少しずつ間隔を置いてつなぎ並べ、円環の中に樹木・狩猟図・獅子・天馬・唐草などの意匠を単独または組合せて表現した文様です。ササン朝ペルシアの工芸品における典型的な文様のひとつです。


獅噛(しがみ)


帯によく用いられる正倉院文様のひとつで、獅子に似た獣面で、口を大きく開き歯牙をむきだした、忿怒をあらわす動物の顔を文様化したものです。



ローマ、ペルシア、インド、西域、中国など様々な国の影響を受けた正倉院文様は、上記の他にも数限りなく存在しますが、大きくは、鳳凰、花喰鳥、孔雀、鴛鴦、鶴、獅子、龍、亀といった動物文様、唐草、唐花、牡丹、宝相華などの植物文様、連珠、亀甲、菱形などの幾何模様、そして、雲、月、日、海、山などの自然現象をモチーフとしたものに分けられます。

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