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日本の伝統文様~水の文様

2016.4.3

日本の伝統文様~水の文様



「水」は古来、穢れ(けがれ)を祓い、清浄するものとして崇められ、帯や着物に表現される日本の伝統文様にも、水を意匠に取り入れたものが多くみられます。今回は、水を意匠に取り入れた文様の数々をご紹介します。



波文様


一時も止むことなく、寄せては返す「波」は、永遠に続く自然の躍動といえます。

一瞬一瞬で、千差万別に形を変える波は、激しく打ち寄せる大波を表す”怒涛”のほか、”立波”、”片男波”、”青海波”、”土用波”など、様々な波の形があります。


波は、仏教の仏座の文様にも取り入れられ、果てることのない波が永遠の彼方に広がり、また生まれ来る胎動を表して、誕生、永遠、不滅、長寿などを意味して、吉祥文様の最たるものとなっています。



波に花喰鶴の丸文様は、花の枝をくわえた鶴を丸の中におさめた文様で、この波文は、婚礼祝祭などの晴れの場に相応しい吉祥柄で、躍動感あふれる立波とあわせて堂々とした風格を表現しています。

 


青海波(せいがいは)


青海波文様とは、鱗状の文様を上下左右に、連続的に配した文様です。青海波文様は、5~6世紀にウクライナ地方で発祥し、古代のシルクロード交易によって8世紀頃にササン朝ペルシャから唐(中国)を経て、日本へ渡来し、工芸品や絵画など広く用いられました。青海波文様は東大寺・正倉院の宝物の中にもみることができます。


また、雅楽で宮中のめでたい場面で舞われる曲に「青海波」という曲があり、この舞楽装束に青海波文様が用いられています。

青海波文様は、穏やかな海を表し、海がもたらす恵を呼び起こす縁起の吉祥文様とされ、「人々の幸せな暮らしがいつまでも続くように」という願いも込められています。 青海波文様は、現在では、吉祥文様として礼装用の地紋や、染織品の柄として幅広く用いられています。



流水文様


水を意匠化した文様は、古くから数多くみられますが、流水文様はその中でも、最も古い文様のひとつとされており、弥生時代の銅鐸にも流水文が描かれています。

果てしなく続いて変化する水の姿を捉えた流水に景物を添えて、様々な流水文様がつくられ、流水に板や船を渡して八橋文様や舟橋文様、山吹や千鳥を添えた六玉川の図に用いられるなど、自在に流水文様が展開されました。



また、幾何学的な同心円を並べた「渦巻文様」や、能装束のひとつ”水衣”という衣装の布は、さざ波に似た表情を示すということで、これを写した「水衣文」も流水文様のひとつです。

流水文は、帯などの図案の隙間を埋めるのには重宝される文様です。



観世水


水文様の代表的なもので、能楽の家元観世太夫が定式文様として使用したところから、名づけられました。波の様子を横長にし、上下左右に連続させた流暢な図柄で、白生地の地紋や帯地としても使われます。




水文様が施された帯や着物は、水の涼しい感じが強く表現されたものであると、秋深くなってから冬にかけては、寒々しい感じですが、一般的には季節を問わず、年中着用することができます。吉祥柄として用いられている水の文様が施されたものは、お正月などのおめでたい席で着用することができます。

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