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織りの技法~唐織

2016.7.15

織りの技法~唐織


唐織とは 


織物には、緞子、佐賀錦、綴れ、紹巴など、それぞれに特徴のある様々な技法がありますが、唐織は、その絹織物の技法の中のひとつです。

唐織は、能装束の織物としても知られますが、光沢のある美しい緯糸を浮かせて模様を織り出したもので、一見、刺繍を施したような趣が特徴です。


唐織は、室町時代に中国・明から緯錦の技法が伝わった織物です。当時、中国から船に積まれてきたものは、唐代のものであるなしにかかわらず、「唐」という名前をつけてよばれることが多かったことから、この名がついたといわれています。


唐織は、室町時代末期に、伝来した中国の技法を取り入れて、京の西陣で織り始められました。

また、装飾性豊かな、豪華絢爛な絹織物である唐織は、平安時代の十二単の上着(唐衣)に用いられた技法が進化し、完成されたともいわれています。


室町時代、唐織は将軍・武家などの重要な儀式の装束や、伝統文化である能装束などに使われましたが、江戸時代になると、一層手の込んだ豪華なものとなり、大名夫人の打掛によく用いられました。

以来、現代に至るまで、唐織は西陣を代表する織物の技法の一つとなっており、現在も、能の女役の上着類などに見事な唐織をみることができます。また、几帳・打掛・行司衣装にも用いられ、西陣の帯としても盛んに織られています。


唐織の特徴


唐織の地は、三枚綾とよばれる綾織り(斜文織り)が主流ですが、夏用の絽や紗もあります。

唐織の模様を織り出す色緯糸を「絵緯」といい、唐織ではこの模様糸を織物表面に浮かせて、織り上げるので、立体的な紋様表現が可能になります。


格調高い唐織の帯には、絵緯糸に、滋賀県で現在わずかに生産されている良質な繭から手引きした「だるま糸」が用いられます。だるま糸は、同じ絹でも錦織の糸に比べて、太くて光沢があるのが特徴です。


唐織の技法では、目の詰んだ織りにするために、地色になる経糸を濡らしながら織るなど、昔から工夫がなされてきました。

さらに本格的になると、糸の湿度を保つために「埋機」とよばれる機で織られます。これは、足で踏むペダル部分を地面に埋め込んでいたので、埋機とよばれたそうです。


唐織の立体的な色糸の模様は、あまりにも見事で艶やかなため、よく刺繍と間違われる方もいらっしゃいますが、刺繍と機を使って織り上げる唐織は、全く異なるものです。

色糸の盛り上がりによる立体感や、色彩豊かで重厚華麗な雰囲気を持った絹織物であること、唐織の最大の特徴となっています。

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