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染めの技法~友禅染め

2016.7.7

染めの技法~友禅染め


友禅糊を用いて華やかな模様を染める友禅染め。布の上に絵を描くように花鳥風月や四季の草花などを表現した手描き友禅の美しさは、日本独特の味わいです。


友禅染めは、江戸時代・元禄の頃、京都の知恩院の門の前で扇を売っていた宮崎友禅斎という扇絵師が考案したといわれます。扇面絵師として名を知られていた宮崎友禅斎が呉服屋の依頼により、小袖に小紋模様の多彩色の図案を描いたのが評判となり、友禅模様として脚光を浴びることとなったと伝わっていますが、詳しいことはわかっていません。


友禅染めは、友禅糊(糸目糊)というもち米とぬか、塩を混ぜたものを使うことが特徴です。その糊を使って防染することで、染料のにじみを防ぎ、動植物や風景など多色染めの華やかな模様を描くことが可能となっています。


友禅染めの一般的な工程は、白生地に下絵を書き、その下絵を友禅糊でなぞっていきます。この糊が防波堤の役割を果たし、図柄や色が隣にしみ込むことを防ぐ役割を果たしますが、その図柄に色を挿していきます。そして、染めあがった図柄の上に、伏せ糊をして地色を染め、最後に糊を落とします。


この友禅染めの染色方法は、絞り染めや型染めに比べ、より自由に絵画的に図柄を描くことができ、また多数の色彩を使うことも可能です。友禅染めの色挿しに用いられる染料は、基本色をもとにアレンジし、多い時は三十色もの色が用いられます。


三大友禅


京で生まれた友禅染めは京友禅と呼ばれますが、後年、友禅斎本人により京友禅技法が加賀藩(現在の石川県)の城下町金沢に持ち込まれ、独自の発展を遂げたものが加賀友禅です。 また、当時武家経済の中心として文化、経済ともに栄えた江戸にも、上方から大名のお抱え染師等が多く移り住み、各種の技法が伝承されましたが、そのうちのひとつ、江戸―町人の町―で発達した友禅染めは東京友禅(江戸友禅)と呼ばれています。


これら京友禅、加賀友禅、東京友禅は、三大友禅と呼ばれています。いずれの友禅染めも、図柄を染める技法に差異はほとんどありませんが、土地の歴史、風土などによってそれぞれ特徴があります。


京友禅:貴族、公家が住む雅の京都らしく、華麗な図案風模様で豪華な金銀箔や刺繍が特徴です。

加賀友禅:加賀百万石で有名な前田家・加賀藩で発達した友禅染めらしく、京友禅とは対照的に、落ち着きのある写実的な草花模様を中心とした武家好みの絵画調の柄が特徴です。

東京友禅:江戸の町人の暮らし振りを表す図柄が多く、渋い色合いですが、都会のセンスと洒落感の漂う粋な作風が特徴です。


明治時代以降の友禅染め


友禅染めは、本来、一枚一枚職人の手によって模様を描き出し染めていく手描き・手彩色でしたが、明治時代以後、広瀬治助が捺染の技法を用いた「型紙友禅」を考案し、型紙を用いる型友禅が多くなりました。


また、近年では、化学染料の開発によって模様の彩色は多岐に発達しましたが、一方で、友禅の柄を化学染料を使って、インクジェットプリンターなどにより多彩に表現し、それを友禅染めとして販売しているといった着物や帯も多く見受けられます。

この大量生産された友禅染めの流通により、本物の手描き友禅は激減の一途をたどり、現状では手描き友禅は全体の1%にも満たないといわれています。

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